Day2 伊集院-市来-串木野-向田(川内) 34km
ホテルが朝食付きだったので、いつもよりも遅く起きて朝食をいただく。和朝食のバイキングで、朝からお腹いっぱいに。食べ過ぎて出発準備がテキパキ出来ず、出発は7時を過ぎてしまった。
もう街は賑やかで、通学する小学生の姿が多い。街の中にある一宇治城に向かって進み、城山の中腹まで登るが、街道は城には入らず城を巻くようにして続く。

車の多い県道を進むと道標があり、左に入る。短い区間だが、ここには旧道がそのまま残っている。営業開始時間前で閉まっていたが、太田鉱泉があった。かつて西南戦争で負傷した兵隊が傷を癒したといわれる鉱泉だ。
薩摩街道を示す道標は所々に建てられている。今回は体力と時間に余裕がないので、旧道にこだわることはせず、基本的に道標があれば従い、無ければ旧道らしき場所も寄り道をしないことにする。

薩摩焼の里として知られる美山地区に差し掛かる。安土桃山時代の慶長の役の際に薩摩藩主島津義弘公が朝鮮から陶工約80人を連れ帰った。その陶工の半数がこの地に移住し、開窯したのが薩摩焼の始まりだそう。400年以上経つ今も数多くの窯があり、陶器が生産されている。

薩摩焼の陶芸家の名跡として最も知られているのが、沈壽官。沈壽官窯は慶長三年より四百二十年余り続く、薩摩焼の窯元で、現在の当主は15代目だそう。屋敷の入口は武家屋敷と同様の作りだ。

沈壽官家は内部公開しているが、まだ営業時間前で外からのぞいただけ。外からでも見える石像が韓国風なのはその歴史ゆえだろう。

隣の善衛陶舎は外からも窯の様子が見えており、無造作に実用的な陶器が置かれている。

いったん街道は国道3号に合流し、JR東市来駅前を通過する。元も街道はこの駅の辺りで線路の南側に交差していたはずだが、道は消えており、駅西のガード下通って線路を越える。
総合運動公園がある山の中に古道が残っているとの情報はあったが、無理をせずう回路を進む。う回路から街道に合流する地点に地図があり、「古道は残っているが林中、険しく畑の中に道はない」とある。逆側にこれがあれば進んでいたはずだが、仕方なし。

大里川にあと600メートルくらいの地点で、この先通行止めと看板があった。地図を見るとう回路になる橋には川沿いに歩いても行けそうなのでそのまま進む。工事は橋の架け替えで、人も渡れなかったが、人用のう回路は近い。最初の看板に従わなくて助かった。歩く人のことを考慮しない看板ばかりで、判断に迷うことが多いのは仕方ないのかな。

ここからは市来の市街地、市来宿だったところだ。昔の街道は防衛の都合でジグザクに折れ曲がっていた。今はそれをぶった切るように国道3号線が走っている。国道の西側は旧道が残っているが、東側は寸断されている。無理せず西側だけ旧道沿いに歩く。街道沿いには古い建物もいくつかあるが、大半は数十年前の住宅だ。そんな中目立っていたのは、白石酒造の壁にある天狗。天狗桜という芋焼酎を作っている蔵元だ。

ランチはファミレスのジョイフル。名物料理を食べたい気持ちもあるが、徒歩旅におけるランチは貴重な休息時間なのだ。できれば靴下を脱いで足を投げ出したい。そうなるとコンビニの駐車場が一番気楽。店ならば、店内の構造がだいたいわかるチェーン店の隅っこで靴を抜いて座り込むのが気楽なのだ。ここは居心地がよく1時間以上休んでしまった。隅っこで他の客から見えていなかったこともあり、水の溜まりだした足に針を刺して水を抜いたりもしたのだった。
12時40分に再出発。串木野の中心部は通らずに少し離れた住宅地を街道は続く。今は中心部から離れた住宅地だが、串木野も宿場町だったので、元々はこちらが中心であったと考えられる。しかし、そんな雰囲気は皆無だ。
昨日からずっとそうだが、柑橘類の無人販売がやたらと多い。単位がでかいのでずっと素通りしていたが、ここには味見のボックスがあり、写真など取る。でも人が来たので味見するタイミングは逃した。

串木野の街を過ぎると街道は国道に並行する狭い道になる。交通量の多い国道を横目にのんびり進む。

峠のところに十里塚の榎があった。鹿児島からここまでが10里、40キロだ。1623年に幕府の巡見使が来た時にここに塚を築いたのだそう。1706年、薩摩街道では1里ごとに榎、松、さくらなどを植えたそうで、ここの榎はその当時からの木だという。

下りは谷が狭くなり、古道は進めず、国道を進むことになるが、所々に古道の名残が見え隠れしている。熊本県に入った辺りの道に江戸時代のアーチ橋が数多く残っているが、ここにも少し残っている。写真の北口屋橋は1852年に造られた。

JR木場茶屋駅の手前に古道を記す看板があった。事前の資料にはなかった道だがいかにも古い街道なので進んでみた。

しかし、すぐにJRの線路に出て道は消えた。地図を見てもその先に道はなさそう。古道は線路で消えたのだろう。すごすごと引き返す。

17時過ぎ、無事に向田宿に到着。今の川内市市街だ。すぐに宿に入り休む。足の豆は酷く、右足の親指はまた剥がれそうに色が変わってきた。まず風呂に入り、その後でゆっくり足の治療。
20時を過ぎてから近くのスーパーに行って、夕食の買い出し。鹿児島名物の鶏のたたきに初挑戦だ。そうなると薩摩焼酎も必須だろうということで、焼酎も購入する。鶏のたたきは期待以上に美味く、焼酎も美味しかった~。