Day10 道の駅日義木曽駒-福島宿-上松宿-須原宿-道の駅大桑 34km
昨夜は遅くなったので、起床が予定より少し遅れた。それでも5時40分に道の駅より歩き始める。中山道に戻ってもすぐに国道に合流することが分かっていたので、なるべく中山道だった道を歩くというのを少しサボって、国道でショートカット。中山道と合流してすぐ左手に、木曽町の町民相撲場がある。大屋根の下に広い観客席もあり、かなり本格的な相撲場だ。長野出身としては37年振りの関取誕生という新聞の切り抜きを色々な場所で見ていたが、その力士御嶽海はこの木曽町出身であり、子供の頃はこの土俵で練習をしたという。
国道を離れ、旧道に入り、しばらく進むと左手に小さな鳥居があった。小さな天満宮で普段なら気にも留めない神社だが、昨夜泊まった天神温泉の由来であるお宮さんなので、お参りをしてみた。天神温泉の女将には孫が何人かおり、受験の度にここにお参りをしたのだという。そのおかげで皆良い学校に入れたと感謝していたところに、宿の敷地から温泉が出たのだそう。そして感謝の気持ちから温泉を天神温泉と名付けたそうだ。平成になってからの新しい温泉です。
福島宿は木曽福島関所跡から始まる。江戸期には、碓氷、箱根、新居と並び天下の四大関所とされていた関所のあった場所である。
福島宿は坂や角が多く、迷路のようだが、案内板がしっかりしているので安心して進んでいける。古い建物も数多く残り、楽しげな場所。ただ歩いていたのは朝6時台なので店はすべて閉まっており、建物の内部をうかがうことはできなかった。
JRの駅前を抜けると道はさらに分かり難く、車の入れない山道みたいな場所もあった。それでも市内は何とか看板を見つけられ、ルートを確実に進むことができた。しかし、そのうちに旧道が実際にはJR線路上となってしまい、その平行の道は途中で行き止まりになったりする場所もあり、地図なしには進みづらくなってきた。19号の新しいバイパスと最近までの19号、旧19号などが複雑に絡み合う部分では中山道は完全に消滅している。地図や過去に歩いた人のブログなどを見つつ、どの道をとるべきか悩んだ。しかし、結局のところ中山道歩きの人のための新たな歩道や階段、地下道などが完成したばかりで、思い悩むこともなく、本来の中山道に比較的近い場所を通っていけるようになっていた。
写真は、木曽の棧(きそのかけはし)。人の歩く幅のない断崖に石組みをし、その上に木道を通していた場所で、古くは古今和歌集にも記述があったという。大学時代、自転車部の合宿でここに来た時の出来事が懐かしく、今回はぜひゆっくりと見たかった場所だ。雨が降ってきたこともあり、1時間以上もいることになるとは思わなかったが・・・。
上松宿は昭和二十五年(1950)の大火で多くの歴史ある建物が失われているが、一部免れた部分には古い建物が残っている。
宿の中に一里塚があった。よく見ると工事中のため中山道歩きの人は迂回してくださいとの説明がある。中山道を歩く人はこういう場所は必ず注意してみるので、掲示するには良い場所である。しかし、先ほど歩いてきた道のことで工事はとっくに終わっている様子だったのに古い案内を置いたままにしているのだった。逆から来ていて、これで大きく迂回してしまったらと思うとぞっとする。困ったものだ。
上松宿を出て30分ほど歩くと趣きある建物が何軒も並んでいた。立場茶屋だった「たせや」の角を曲がると有名な景勝地寝覚ノ床に出る。
たせやのところを曲がって寝覚ノ床の入口まで出たが、入場料200円とあり、昔の記憶と違う気がして、すぐには入らずにネットで調べたところ、200円は寺の拝観料だった。寺を通ると少しショートカットできる、本来の入り口や駐車場はもっと先で入場料も無料だ。改めて見ると広い場所だし、見学していたらかなり時間がかかりそう。昔来た場所だし、調べて写真を見たら思い出してしまったので、入らずに中山道へ引き返す。見なかったのに体力と時間のロスをしてしまった。
中山道に戻り少し進むと、木曽八景のひとつにも数えられる小野の滝に到着。歌川広重や葛飾北斎の浮世絵にも描かれた滝だ。
滝を越えたあたりから今日初めての日差しで、気温がぐんぐん上がって来た。雨でずっとのどが乾かなかったので水筒を持たずに歩いており、のどがカラカラになる。困っていたところにありがたい水場発見。おいしかったー。この辺りの水場は大木をくり貫いたものが多く、さすが木曽だと思う。
一度上がっていた雨が須原宿に着く前から振り出し、駅で昼食をとっている間に本降りとなってしまった。ここでも長時間の休憩。梅雨の真っ最中なので距離がなかなか稼げないのは仕方ない。真夏の暑さの中を歩くよりは雨の中を歩く方がずっと楽だが、一旦雨の当たらない場所で休んでしまうと中々出発できないのである。
須原宿を見学したのは午後4時前。昼過ぎの心づもり朝は歩いていたのだが、雨宿りのしすぎである。須原宿はやたらと水場が目立ち、水路も多く、水の豊富な印象。
次の野尻宿までは歩こうと思っていたが、休憩した道の駅大桑でのんびりしていたら再び雨。本日はここまでとする。
本日の距離 34km
中山道の合計距離 289 + 34 = 323km