徒歩旅

Day9 安来駅-安来宿-米子宿-淀江宿-御来屋宿-名和駅 32㎞

**地図**
 当初は昨日歩く予定だったが米子地方大雨の天気予報で、計画を一日延期している。おかげで今日の米子地方は夜中からずっと快晴の予報である。安心しきって前回歩き終えた安来に向かっていたが、出雲地方に入ると雲行きが怪しくなってきた。出雲市駅で乗り継ぎの列車を待つ間に、ポツリポツリと雨が降り出す。前回のスタートである宍道の辺りはかなりの雨。松江に着く頃にはとてもじゃないが歩けそうにないほどの大雨となる。焦って天気予報を確認するが、松江も米子も晴れのまま変わりなし。しかし、アメダスの画像を見ると松江地方はしっかり赤色、安来も米子も黄色でかなり降っている。アメダスの予報でも3時間後には快晴になるようだが、スタート地点到着前から意気消沈だ。
 10時半に安来駅到着。小降りになっていたので、歩き始める。
19/04/02 10:39:48
 国道沿いは車がしぶきを撒きながら飛ばしているので嫌だったが、すぐに静かな旧道に入る。黒鳥の集落を抜けると、舗装も切れた。雨はほぼ上がったが、路面を水が流れているのでのんびりとは歩けない。
19/04/02 11:00:14
 小さな峠付近で満開の山桜きれいだった。
19/04/02 11:05:42
 細井の集落を抜ける旧道は新しい道に最後は阻まれている。当初は旧道を最後まで進み、新しい道路の法面を強引に進むつもりだったが、藪に入るとびしょ濡れになりそうなので、素直に回り道をする。珍しく手入れの行き届いた竹林があり、思わず見とれてしまう。そろそろ筍の季節だ。
19/04/02 11:22:04
 国道9号線に再び合流。歩きだしてまだ2時間弱だが、昼を過ぎているのでコンビニでカップ麺を食べる。コンビニの駐車場を昔の山陰道が通っているので、駐車場を斜めに横断し先に進む。コンビニから300メートルくらい進んだ場所に犬田番所(いぬたばんしょ)跡の案内板を見つけた。伯耆(ほうき)国と出雲国の境に設けられていた番所のあった場所だ。伯耆側の番所なので、いつの間にか伯耆国と出雲国の国境=島根と鳥取の県境を越えていたようだ。看板に気づかなかったなと地図を見返してみると、先ほどいたコンビニの駐車場内に境界が引かれている。コンビニに入らず、道路沿いにちゃんと歩けば看板はあったのだろう。これで長い島根県を抜け、山陰道3県目の鳥取県だ。国でいえば、周防、長門、石見、出雲に伯耆で5国目である。
19/04/02 12:37:20
 米子市街に真っすぐ入らず、旧道は山沿いをぐるりと回る。変なルートだと思っていたら、道が奥に入ったその先に大きな寺があった。米子城の初代城主が建てたといわれる総泉寺である。
19/04/02 12:54:36
 米子宿も宿場町の雰囲気は残っていない。街道筋より北側の米子城周辺や港近くには古い建物が多く残っているようだが、山陰街道沿いは寂れてしまった昭和の商店街そのものだ。出雲地方に入ってからここまでずっと同じだが、山陰道という案内はなく、出雲街道という案内がチラホラある。出雲街道は山陰道の別称ではなく、出雲と姫路を結ぶ街道の名だ。出雲市の今市宿から大山町の御来屋宿の先までは山陰道と出雲街道は重なっているが、そのことにさえ触れない案内ばかりで、山陰道を歩く者にとっては少し残念な気分になる。
19/04/02 13:05:42
 米子や大山町の辺りは出雲文化圏であり、社寺の作りも似ている。
19/04/02 13:19:34
 日野川の橋の上から大山(だいせん)が美しく見えるはずだったが、雲の中。
19/04/02 14:16:40
 日野川を渡り行動を離れ、日吉津(ひえづ)村に入ると古い建物の残る歩きやすい旧道となる。再び米子市に入り、旧大和村の辺りまで来ると本当に大きな旧家が多く残っている。豊かな地域だったのだろう。
19/04/02 15:01:14
 淀江宿の辺りも寂れた昭和の商店街で、先ほどの大和村の辺りの方がよほど宿場の趣があるように思えた。淀江の港近くに鳥取藩淀江台場跡が残っている。台場は幕末期に外国船の襲来に備え築かれた砲台場で、現在の鳥取県と同じ領域のあった鳥取藩は全部で8カ所の台場を築いている。今は公園になっており、子供たちが鬼ごっこをしていた。ベンチでひと休みし、今日どこまで歩けるかを計算する。家から離れ、今回からは終列車が明るい時間となる。暗くなるまでは歩けないので、時計を見ながら進まねばならない。
 淀江を過ぎると旧道は水田地帯に入ってくる。古い道筋が残っているところも多いが、田の下に消えているところも多い。どうせ旧道を歩けないなら無理に近い道を歩かなくても良いかと思うが、街道筋であったことを示すものが時折残っており、なるべくそういうものを逃さぬよう旧道だった場所に近いところを歩く。
19/04/02 16:29:56
 山陰は風力発電が盛んであちこちにあり、もう写真に収めなくなってきていたが、ここまで発電用風車の真下に入る場所は中々ない。ほとんど青空が見えない一日だったのに、風車の周りだけ真っ青で驚く。
19/04/02 16:53:30
 国道に出る前にある福尾という集落は風変わりな集落だった。事前に地図を見た時に山陰道の道筋がこの集落を通過しているのは分かったが、どの道が旧道なのかが分かりにくいのか、歩いた人のGPS記録がみなさんばらばらなのがまず気になった。地形図、グーグルマップ、ヤフーマップで、載っている道はバラバラ。航空写真を見ると道筋が細く分かりにくいが、写真をもとに作られているグーグルマップが一番正しそうな感じはした。入口に何やら立派な祭壇がある。
19/04/02 17:00:56
 この後は、細い路地を抜けて歩くのだが、寂れた雰囲気のする集落が多い中、ここは人の気配が多く、話し声など外に漏れてくる。小さな集落なのに歩いている人にも何人か会った。家や庭もきれいにしている。ゆっくり観察したいところだが、列車の時間まで余裕がないのでそのまま通り過ぎる。
 福尾の集落から坂道を下ると国道9号線に合流し、すぐに旧道は海側にそれる。久しぶりの日本海だ。
19/04/02 17:18:46
 再び坂を上り、富永神社の前に出る。ここは14世紀に築かれた富永城の跡だ。
19/04/02 17:26:54
 名和川を渡ると御来屋(みくりや)宿だ。ここは一本道の両側に町屋が並ぶ宿場町の趣がある。御来屋宿の中心より少し手前、名和駅への分岐に到着した。次の御来屋駅まで1.2キロ、御来屋駅の終列車まで16分だ。御来屋まで行こうと10メートルほど進んだが、何かあってもし乗り遅れたら嫌だなと思った瞬間、足が止まってしまう。ちょうどこの時雨が降ってきた。やめておけと天にいわれた気がし、Uターン。余裕をもって名和駅に到着し、本日の行程は終了。
19/04/02 17:51:10