Day8 大村-永昌-矢上-日見-長崎 39㎞
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地図**
長崎街道の最終日、今日も夜明け前に出発する。5時20分に歩き始め、昨日も歩いた大村宿を抜ける。宿場を抜けるとすぐに登り坂となる。意外にアップダウンのきつい道で、昨日JR一駅分でも進んでおいた方が良かったかなと思ってしまうほどだ。そのJR岩松駅に近い場所に鈴田番所跡があった。
鈴田の一里塚跡を越え、JR線を越え、古松宿休憩所跡を越える辺りまでは、平地が続くが、そこからは峠道でぐんぐんと登ってゆく。大村湾に面した大村藩領から鈴田峠を越えて有明海側の佐賀藩諫早領に向かう鈴田峠越えの道である。途中きれいに石畳が残っている場所などもあり、気持ちの良いトレッキング道になっている。
峠には硯石と呼ばれる大きな石が今も置かれている。
下り道も非常に歩き易い道が続いている。林を抜けて住宅地に入って車道となっても下り坂が続く。大学や高校が街道沿いにあり、息を切らしながら登校する学生たちとすれ違いながら下り坂を進む。
永昌宿は諫早城下への道と長崎街道の分岐や茶屋跡に新しい道標があるだけで、特に古いものは残っていない。
街道沿いには売店もないので永昌宿の近くで少し街道から逸れてコンビニへ。まだ9時だが、5時に少しパンを食べただけだったのでかなり空腹だったのだ。
ここから先もアップダウンの激しい道が続く。ほとんどは車道になっている舗装道路だが、一部は未舗装の旧道となる。写真の赤松坂はかなり急な下り坂となっている。
坂を下った先には旧茶屋の井戸という井戸が残っている。ここの井戸水を使った休憩処があったのだ。
再び石畳の道を登り、峠道の車道を進むと「清水の祠」という石祠があった。200年以上前の祠で、ここの湧き水はどんな干ばつでも枯れなかったという。持っていた水がそろそろ底を尽きかけていたのでこれは助かった。
大村湾側から東シナ海側の分水界を越えると平地が広がりだし、住宅地へと入っていく。しばらく進むと左側に藤の古木がある。古賀の藤棚と呼ばれるもので、江戸時代から旅人の疲れを癒してきたという。樹齢400年だそう。(写真の藤棚だが左の太い幹はこの藤ではなく、藤の根元は写真右に切れている)
この後、いったん街道から離れて昼食をとり、再び街道に戻る。
矢上宿も住宅街にあり、伝統家屋などは残っていないが神社に大木があるなど少しではあるが、古い時代の姿も偲ばれる。
矢上から急な坂を上り終えると旧道は途切れ、階段を下ってゆくと日見バイパスに出る。バイパスを渡った先にあるのが、日見腹切坂の石碑である。ここから日見峠方面の高い位置に道路が見え、あれよりも登るのかと思うと少しうんざりする。しかもここからさらに急坂を下って日見宿に出て、そこから登り始めるのだ。
階段を下って日見宿に出る。長崎街道の最後の宿場町だが、ここも道標があるくらいである。
そこからはひたすらの登り坂。住宅街を抜けさらに登っていくと大正時代にできた日見トンネルの入り口に出る。この辺りで標高180メートルである。
トンネル出口は向こうに見えているがここからは山道をさらに上へ目指す。標高270メートルで車道に出る。ここからは明治時代にできた明治新道である。大きなカーブを曲がると峠となる。峠は33メートルにわたって切り下げた切通しになっており、江戸時代の峠はもう少し高い位置にあった。明治新道で江戸時代の道は切れてしまって通れないので、ここは素直に明治新道を歩く。
峠は小さな集落になっており、明治新道が車道となっているのだが、集落の中ほどに階段があり、この道が江戸時代の長崎街道となる。
急坂を下りきると日見トンネル出口となる。後はどんどん下っていけば長崎市の市街地となる。鳴滝川に架かる橋は、1654年に架けられた石橋で古橋と呼ばれている。現在の橋はオリジナルのものから1メートルかさ上げされている。
人通りの多い商店街を進んでいくと「長崎街道ここに始まる」と記された道標がある。ここをゴールにしても良かったのだが、ここが長崎街道の起点であるという根拠は示されておらず、文献を調べても出てこない。長崎街道を示す地図にはこの先にある長崎奉行所跡地を起点にしているものが多いので、さらに歩みを進めて長崎奉行所跡地を目指す。
長崎奉行所跡地・・・ゴール♪としたかったが、工事中で入れず、長崎奉行所跡地であることを示す石碑も見当たらない。
元々長崎奉行所跡地は長崎県庁があったはずだが、3年前に移転し、それからずっと工事が続いているのだ。せっかくのゴールがこれでは締まらないので明日訪問するつもりだった出島まで行くことにした。工事現場を迂回する途中に南蛮船来航の波止場跡碑があった。元々はこの辺りが海岸だったのだ。
そして中島川を隔てて出島が見えてくる。昔来た時は何も残っていなかったのだが、今はたくさんの建物が復元され野外博物館になっている。
再建された橋を渡って、ここ出島で長崎街道の徒歩旅のゴールインとする。足の不調で大変だったが、最終日には調子も取り戻せ、気持ちの良いゴールとなった。
18時半でも出島は一応開いているようなので入ろうかと思ったが、侍姿の係員がこの時間で開いている施設と閉まっている施設を説明してくれ、時間があるなら明日の方が良いように言ってくれる。見学はせず、対岸に座ってのんびりゴールの余韻を楽しんだ。
本日の距離 39km
長崎街道の合計距離 264km