徒歩旅

Day5　佐久IC-岩村田宿-塩名田宿-八幡宿-望月宿-芦田宿 21km

　初めてのネットカフェ宿泊だったが、昨日は疲れていたのでまずまず眠れた。５時半頃起きて、６時頃歩き出す。朝の気温は氷点下４度で、またデジカメのシャッターが下りない。携帯に付いているカメラは低温に強く、こういう時のバックアップになってありがたい。
　道幅の広い県道９号をそのまま進んでいくと商店街となり、その辺りが岩村田宿だ。早朝なので店は閉まっており、特に立ち止まる場所もなく歩くうちに、宿の端に来てしまったので、振り返って一枚。

　宿の出口で県道９号を右折し、さらにJR小海線を越える。しばらく歩いたところのコンビニでカップ麺とおにぎりの朝食をとる。寒くてカップ麺がうまい！
　国道141号を越えると街から離れ、リンゴ園などの風景が広がる。平塚の集落を越えたあたりから道は下り坂になり、塩名田宿に到着する。岩村田宿とは違って古い建物が多く、趣きのある宿だ。

　佐久市公民館浅科地区館の前にある公衆トイレはきれいで暖房が効いていた。あまりの心地良さに用便が終わってからもしばらく動けず。気温が氷点下の屋外で休憩する気にもなれず、歩き出してからここまで休んだのはコンビニの中だけだったのだ。写真はトイレの斜め向かいにある本陣跡。

　塩名田で最も古い町屋であるのが写真の佐藤家。

　宿の出口は千曲川。もともとはこの辺りに橋があり、街道は対岸に見える道へと続いていた。水害で橋はたびたび壊され、船渡しとなった時も多いという。明治時代だけでも３度架け替えられている。昭和６年にそれまでの木橋から鉄橋に建て替えられ、街道は今の場所へと移動した。

　次の八幡宿までは３キロほどで、中山道で最も宿場間が短くなっている。歩いているとあっという間に八幡宿に着いた。写真は宿名にもなっている八幡神社の隋神門。

　八幡宿の神社は立派だが、古い建物はさほど多く残っていない。写真は本陣跡。

　八幡宿を出てしばらく行くと宿場かと思うような趣ある家並みがある。百沢と呼ばれる集落だが、特に案内板もなく、間の宿でもなかったようだ。

　百沢の出口辺りに男女が酒を酌み交わす石像がいくつかある。安曇野地方で発生した祝言道祖神で、ここのものは宮廷貴族の衣装を纏っている点で他に例を見ないものだという。

　峠を一つ越えると望月宿に到着する。この辺りは交通が不便で中山道歩きを日帰り中心で歩く人も宿泊せざるを得ない。街道歩きの人々に人気の宿の一つが、この井出野屋旅館である。大正時代の趣きある建物で、映画「犬神家の一族」で使われたことで知られている。もう一軒江戸期創業という山城屋旅館というのもあり、ここに泊まる人はどちらかに泊まっているようだ。

　望月宿は新しい家が多いものの、ところどころに趣きある昔の家が残っており、歩いて楽しいところだ。

　望月宿と芦田宿の間にあるのが、間の宿である茂田井。古い家並みが続く、見応えある間の宿だ。

　茂田井の見どころの一つが、白壁に囲まれた大澤酒造である。民俗資料館、しなの山林美術館と名主の館、書道館など見学施設が併設され、無料で見学できる。できればここでお酒を買いたかったが、歩きに重い荷物は厳しいので見学だけで断念。

　12時40分、芦田宿に到着した。写真は、本陣土屋家住宅。寛政12年(1800)に建てられた建物が残っており、門をくぐって建物の前までは見学できるようになっている。

　望月の井出野屋よりも中山道歩きの人に人気があるのが、200年以上前の江戸後期から営業を続けているという写真の金丸土屋旅館である。江戸期の建物そのままで営業を続けている宿は他に聞いたことがない。中山道の歩き旅をする人には知られた宿のようだが、泊まった人のブログなどを見ると、古さに意義があるのであって快適さを求める人は泊まるのも難しそうである。ここに泊まることを当初は考えていたが、大学時代の先輩がこの近くに移住していることを知り、会いに行きたかったので止めた。午後はその先輩の家にお邪魔することになっているので、歩いた距離は昨日の半分以下だが、本日はここまで。